輸入盤レアCDルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ　ロッシーニアリア集

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知る人ぞ知る、名歌手！
輸入盤CDルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ　ロッシーニアリア集
１９９８年に白血病で亡くなったイタリアの生んだ名コントラルト、ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニのロッシーニ・アルバムで、録音は１９８０年から８１年にかけてトリノのＲＡＩラジオ・テレビ放送局において行われた。亡くなった当時はまだ５１歳の全盛期であったことが悔やまれる。女声の中では最も低いコントラルトという声質で、彼女の声は特有の広がりと深みを持っている。彼女はまたこの種の声としては珍しくヴィヴァルディからストラヴィンスキーに至るまでの驚異的に広いレパートリーを持っていた。ドイツ物でもブラームスの『アルトラプソディー』でその実力が実証されているが、とりわけロッシーニのオペラは白眉で、通常ベルカント・オペラのヒロインはソプラノに限られているが、ロッシーニは自分のオペラの殆んどの主役を女性の低い声に託している。このアリア集でも聴かれるように広い音域に亘ってのコロラトゥーラの超絶技巧を克服することは並大抵のことではなく、このためにいくつかのロッシーニの作品はその真価を問われることなく埋もれたままになっていた。『タンクレディ』、『セミラーミデ』や『マホメット二世』などは彼女の優れた歌唱によって復活した演目と言える。ヴァレンティーニ=テッラーニはそれぞれのフレーズに美しい刺繍を施すように華麗な装飾音をちりばめた、いわゆるロッシーニ節を極めて精緻に、しかも大きなスケールで歌い切っている。こうした唱法は伝統的なカストラート達の歌唱からロッシーニが受け継いだもので、一切のドラマを声とその技巧で表現してしまうというイタリアのベルカント・オペラの典型的な姿が再現されている。しかし彼女の歌がテクニックの誇示に堕していないのは、自ら極めた表現力や歌唱芸術としての深みがどの曲にも感じられるからだろう。
指揮者アルベルト・ゼッダはイタリアのめぼしい歌劇場で活躍したマエストロで、リコルディ社から出版されているロッシーニのオペラ・スコア新全集の校訂や音楽教師として、またペーザロで毎年開かれるロッシーニ・オペラ・フェスティバルの芸術監督としても知られたまさにロッシーニの権威。アナログ録音だが音質は良好。