【秦建日子2冊組】サイレント・トーキョー、ザーっと降って、からりと晴れて

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サイレント・トーキョー
　テレビ局に入った爆破予告の取材に恵比寿に出向くと、山口アイコが椅子に座っていて、その椅子には、重量に反応して爆発する爆弾が仕掛けられていた。犯人の指示でアイコともどもテレビ局員はその手先とならされ、次の爆破予告に加担させられます。
その場所は渋谷のハチ公前、クリスマスイブの18：30。爆破予告に警察は爆弾処理班を配置させるが、たくさんの野次馬を巻き込んで１００人以上の死者を出してしまう。
一方爆破現場の周囲で怪しい動きをしている男・須永基樹がマークされ、刑事世田の追撃が始まります。しかしマークされているはずの須永が追っていたのは自分と母親を捨てて行方不明になった実の父親・朝比奈仁でした。そして朝比奈は序盤から軍人と思しき外国人が何度も接触してくるエピソードが紹介されていて、こいつが爆弾犯かと思わせる雰囲気がプンプンしているのです。真犯人はだれか、そして爆破テロ第２弾は追行されるのか？スピーディーな展開のクライムサスペンスです。２重３重のミスリードの罠が張り巡らされていてこの犯人は全く予想外です。

ザーっと降って、からりと晴れて
リストラ間近の中年男、駆け出し脚本家、離婚目前の主婦、不倫中のＯＬ、それぞれ一生懸命生きているけど人生はままならないと思っている人たちの背中を押す言葉が何故か「ニューカレドニア」。そもそもはエレベーターの中に閉じ込められた冴えない中年男と美人弁護士が退屈しのぎに話を始める場面で、なかなか共通の話題がない時にニューカレドニアで初めて繋がることから。
引き続きの２編もキーワードにニューカレドニアが出ては来るもののバラバラのお話、それが４編目で綺麗につながり小さな奇跡が連鎖して最後には希望がもたらされます。この小説を読むとニューカレドニアが本当に天国に一番近い島に思われます。