【最終価格】ベートーヴェン：『英雄』　ベルティーニ／ケルン放送響

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商品の説明

ベルティーニ／ケルン放送響ライヴ・シリーズ
ベートーヴェン：『英雄』

「精度の高さと各楽器間のバランスは絶妙だ。細部まで磨き上げられたフレージングと音程の統一感は素晴らしい。それでいて恣意的な所は微塵も見られない。音楽にすべて自然に語らせている。作品全体が大きく深い呼吸を保ちつつ、一瞬たりとも緩むところがない。それでいて、温かさにあふれたこの演奏は、聞くものに大きな感銘を与える。」（井上喜惟）

・ベートーヴェン：交響曲第3番『英雄』
　ケルン放送交響楽団
　ガリー・ベルティーニ
　録音：1989年8月31日

許光俊の言いたい放題　から
　先頃のマーラーに続き、思いがけずガリ・ベルティーニとケルン放送響のライヴＣＤ３点が登場した。いずれも１９８０年代終わり近くの演奏のうえ、アルトゥスだけに、音質も非常によい。これまでベルティーニの代表盤というと、入手のしやすさ、演奏水準の高さ、音質という観点からどうしてもＥＭＩのマーラー全集を挙げるしかなかっただけに、貴重である。

　ベートーヴェンの「英雄」は、非常にきびきびした演奏。ベルティーニ独特の、短い指揮棒を精力的に動かす指揮姿を思い出させる。といっても、単にテンポが速くて軽快という単純なものではない。各楽器、特に管楽器のフレージングやバランスがきっちりと整えられている。音響の見通しのよさは驚くべきもので、各パートの動きが手に取るようにわかる。この密度は並大抵ではない。ベルティーニは特にマーラーの緩徐楽章ではきわめてゆったりしたテンポを取り、じっくりと陶酔的に音楽を進めることもたびたびだった。そうしたイメージとはまさに正反対の動的な音楽だ。特に第１楽章終盤の熱気と高揚は多くの人を喜ばせるだろう。
　第２楽章も辛口で妙に情緒的になったりしない。それより、第３楽章が痛快でいい。この切れのよさは、カルロス・クライバーの第７番みたい。ズバッと終わらせておいてフィナーレで猛ダッシュするあたり、生できいたらさぞやドキドキできただろう。かっこいい。
　フィナーレでは、やはり第１楽章同様、透かし彫りのマイスターぶりを見せつける。各楽器が精密に絡み合う様子は、胸がすくような鮮やかさだ。音色やリズムのめまぐるしい乱舞。数え切れないほど「英雄」の録音は存在するが、フィナーレのもっともユニークな演奏のひとつと断言してかまわないはずだ。